銀閣寺、正式名 東山慈照寺(じしょうじ)は、室町幕府8代将軍 足利義政が応仁の乱(1467年1477年)で焼失した浄土寺の跡地に、文明14年(1482年)から造営した別荘「東山殿(ひがしやまどの)」が起源です。
戦乱で荒廃した京都を横目に、庶民に段銭(臨時の税)や夫役(労役)を課して造営を進め、自身は風雅で文化的な趣味に興じました。正直かなり酷い話ですよね。
ですが、同時に禅僧や公家、武家はもとより、身分を問わず優れた才能を引き立て、今日まで引き継がれる日本的な文化を数多く育てた事は功績として評価されています。
そんな日本文化をはぐくんだ銀閣寺の見どころと、他の観光地へのアクセスをまとめました。
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【1】銀閣寺 由緒と歴史
平安時代、京都の東山は北山と同じく、天皇の御陵や寺院が多くあった場所です。
東山慈照寺は浄土寺跡に足利義政が造営した山荘「東山殿」が起源です。義政はここに多様な才能を集め、東山文化と呼ばれる今日まで続く日本的な文化を数多く育てました。
・政治から逃げたい足利義政
室町幕府8代将軍 足利義政が将軍になった当時の室町幕府は、財政破綻の建て直しや土一揆などの社会的混乱を正す必要に迫られるなど困難な状況に直面していました。
残念な事に、これらの難題は義政の手には負えませんでした。そのため、義政は政治から身を引くことを考えたのです。
康正元年(1455年)、日野家から16歳の富子を正室に迎えますが男子が生まれません。そのため、寛政5年(1464年)浄土寺に住していた弟を還俗させ義視(よしみ)と改名、将軍の後継者に指名しました。
・義政の後継者争いから応仁の乱へ
そんな中、寛政6年(1465年)妻の富子が長男 義尚(よしひさ)を出産。
自分の息子に将軍職を継がせたい富子は、幕府政治に大きな影響力を持つ守護大名・山名宗全に近づきました。しかし、義視の後見人は、もう一人の大物 守護大名・細川勝元。
勃発した将軍の後継者争いは、宗全と勝元との権力闘争へと意味合いを変えていったのです。
各地の守護大名も、宗全率いる西軍と勝元率いる東軍に分かれ、ついに応仁元年(1467年)「応仁の乱」がはじまりました。
戦いは11年にもおよび、京都の大半は焼け野原となり、相国寺をはじめ多くの寺院が焼失。義視が住した浄土寺も焼け落ちました。
勝敗がつないまま厭戦ムードも出てきた文明5年(1473年)、勝元と宗全が相次いで死去し、すぐに両家の後継者同士で和睦が進められました。
翌年、義政は隠居し足利義尚が9代将軍に就任。(※義視は義政と不和になり西軍に転じていました。)
しばらくは和睦反対派の西軍による小競り合いが各地でありましたが、文明9年(1477年)に諸大名は軍を撤退し応仁の乱は終結を迎えました。
・趣味に生きる「東山殿」を造営
応仁の乱の後の文明14年(1482年)。義政はかつて弟の義視が住した浄土寺跡地に山荘「東山殿」の造営を開始しました。
戦乱で荒廃した京都を横目に、庶民に段銭(臨時の税)や夫役(労役)を課して造営を進めたといいます。
翌年には政務を長男 義尚に譲り、自身は造営中の東山殿に引越し文明17年(1485年)に出家。
義政は思いのままに東山殿の建築や庭園に財を費やし、五山派の禅僧や公家・武家はもとより、身分を問わず優れた才能を引き立て、茶の湯、絵画などに親しむ風雅で文化的な生活を満喫しました。
しかし、延徳2年(1490年)義政は銀閣の完成を見ることなくこの世を去りました。
・慈照寺の歴史
義政の死後、遺言により東山殿を夢窓国師を勧請開山とする禅寺に改め、寺号は義政の院号慈照院殿に因み「慈照寺」とされました。
その後、室町幕府の衰退と共に慈照寺も荒廃し、復興されたのは江戸時代初期。
慶長20年(1615年)宮城丹波守豊盛が禅宗風の趣を取り入れた大修復をしたといいます。現在の銀閣寺はこの慶長の改修によるところが大きく、創建時の面影が残っているかどうかは不明です。
【2】銀閣寺 見どころ
銀閣寺は俗世間から逃げてきた私たちを、優しく迎えてくれる侘び寂びの世界文化遺産です。
・銀閣寺垣
銀閣寺へのプロローグにぴったりの入り口。
スクエアで背が高い刈込がクールな生垣に囲まれています。
・向月台、銀沙灘
現代アートのような向月台(こうげつだい)、銀沙灘(ぎんしゃだん)は、義政の時代からではなく、江戸時代以降に生まれたとされています。
作者や作成意図などはわかっていません。 一説としては、江戸初期に埋まっていた池をさらった時の砂を積み上げたのがはじまりとも言われています。
・観音殿(銀閣)と錦鏡池
観音殿(銀閣・国宝)は一般的に銀閣寺と呼ばれている慈照寺の象徴的な建築物です。義政は自らの宗教観を託し、一層は「心空殿(しんくうでん)」、二層は潮音閣(ちょうおんかく)と命名しました。
鹿苑寺(ろくおんじ)の「舎利殿(金閣)」、西芳寺(さいほうじ)の「瑠璃殿(るりでん)」を踏襲したもので、現存する室町期の楼閣庭園建築の代表的建造物です。
特別名勝の庭園は、錦鏡池(きんきょうち)を中心とする池泉回遊式。「苔寺」の通称で知られる西芳寺庭園(夢窓疎石作庭)を模して造られたと伝わりますが、江戸時代の改修で創建当時の面影はかなり失われているといわれています。
・東求堂
東求堂(とうぐどう)は義政の持仏堂で、住宅建築の様式が濃いスタイルです。内部の東北に位置する4畳半の「同仁斎」は、書院造の源流、茶室のはじまりと考えられています。(国宝)
浄土信仰の象徴でもある持仏堂の周囲に禅宗様式の庭園を配したり、「東求堂」「同仁斎」という名前を選んだところに、義政の宗教観を垣間見ることができます。
東求堂は「東方の人、念じて西方に生ずるを求む/浄土は場所の問題ではないという禅問答」(出典:六祖壇経)、同仁斎は「聖人は一視して同仁/出身や身分や敵味方に関わらず、どんな人であっても平等に接すること。」(出典:韓愈)を意味します。義政が禅僧 横川景三(おうせんけいさん)の案の中から選んだものです。
・本堂(方丈)
本堂(方丈)内部は通常非公開です。特別公開で拝観可能です。
・お土産屋と御茶処「圓通」
拝観コースの最後にお土産屋さんと御茶処があります。お土産は銀閣寺限定のグッズなど沢山の商品が用意されています。また、500円の抹茶セットもいただけます。お席は屋外です。
展望台から見る銀閣と京都の街並みの眺めも気持ちいいです。
【3】銀閣寺の御朱印
境内に入場する際に、御朱印の案内があります。
拝観前に朱印所に御朱印帳を預け、番号札と料金300円を引きかえ、帰りに受けとるシステムです。
待ち時間がほとんどないのが嬉しいです!
【4】銀閣寺へのアクセス
最寄りバス停は「銀閣寺道」「銀閣寺前」。
※銀閣寺道から銀閣寺までは徒歩約12分です。
- 銀閣寺前 バス停 → 一番右のバスアイコン
- 銀閣寺道 バス停 (D)
- 銀閣寺道 バス停 (C)
- 銀閣寺道 バス停 (B) → 左下から2つ目
- 銀閣寺道 バス停 (A) → 左下
・京都駅前バスターミナルから
- 市バス
★京都駅前バスターミナルのりば案内
[D1のりば] 市バス100 清水寺・祇園・銀閣寺行き
※銀閣寺道まで約37分。
[A2のりば] 市バス 17 錦林車庫前行き
※銀閣寺道まで約36分。 - TAXI 所要時間 約23分/ 2,440円
総距離 約7.4km タクシー料金検索
※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。
・三条京阪から
- [Dのりば] 市バス5 岩倉操車場前行、銀閣寺・岩倉行
※銀閣寺道まで約18分。
※Dのりばは京阪電車「9番出口」を出てすぐ。 - TAXI 所要時間 約14分/1,360円
総距離 約4.1km タクシー料金検索
※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。
銀閣寺行のバスは本数が多いので、アクセスは簡単!
【5】銀閣寺近辺の見どころ
哲学の道は、四季おりおりの自然の美しさを楽しめる小道です。道沿いには、カフェやお土産屋さんなどもたくさんあります。
・哲学の道
哲学の道 徒歩約5分
哲学者の西田幾多郎が散策、思索にふけったと言われる道。若王子神社から銀閣寺に至る、東山のふもとの疏水べりの雰囲気ある小道(約2km)。春は桜、秋は紅葉が楽しめます。
・白沙村荘 橋本関雪記念館
白沙村荘 橋本関雪記念館 徒歩約3分
日本画家、橋本関雪がアトリエとして造営した邸宅と美術館
開館時間 10:00~17:00(有料)※季節などにより時間変更の場合あり
特にプランは無くても、哲学の道を散策するだけでリフレッシュできます^^
【6】他の観光地へのアクセス
・銀閣寺→ 金閣寺
- 銀閣寺道 バス停(B)から乗車。「金閣寺道」下車。金閣寺まで徒歩約8分
市バス204 金閣寺行 時刻表
※「金閣寺道」まで約37~39分
洛バス102 金閣寺行 時刻表
※「金閣寺道」まで約26分 - TAXI 所要時間 約22分
総距離 約6.8km タクシー料金検索
※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。
・銀閣寺→ 南禅寺、永観堂
- 銀閣寺道バス停(A)、 銀閣寺前バス停(100、32)から乗車。
「南禅寺永観堂道」下車。永観堂まで徒歩約3分。南禅寺は徒歩約10分。
市バス100号 祇園清水寺・京都駅行 時刻表
市バス 32 四条河原町・西京極行 時刻表
市バス 5 京都駅前行 時刻表
※所要時間 南禅寺・永観堂道まで約6分。
・銀閣寺→ 清水寺
- 銀閣寺前バス停、銀閣寺道バス停(A)から乗車。
「清水道」下車。清水寺まで徒歩約11分。
市バス100号 祇園清水寺・京都駅行 時刻表
※清水道まで約22分。 - TAXI 所要時間 約16分
総距離 約5.1km タクシー料金検索
※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。
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※この記事の史実に関する記載は、相国寺公式サイト、慈照寺パンフレット、駒札、Wikipedia等を参考に作成しました。
東山慈照寺
所在地 京都市左京区銀閣寺町2
TEL.075-771-5725
銀閣寺公式サイト
拝観料金 大人・高校生 500円、小・中学生 300円
拝観時間 8:30~17:00
※12月1日~2月末日は、9:00~16:30
※年中無休