六角堂 [頂法寺] | 聖徳太子が建立。縁結びのパワースポット

六角堂

六角堂は本堂の形が六角形であることから、古くより「六角堂」「六角さん」の通称で親しまれています。正式名は「頂法寺」です。

そして、六角堂のご本尊「如意輪観音菩薩」は、願い事を思いのままに叶える強力なご利益パワーで知られています。

華道で有名な家元「池坊」の発祥地でもあり、浄土真宗の宗祖である親鸞に啓示を与えたりと、霊験エピソードに事欠きません。

パワーに引き寄せられるかのように、平和の象徴とされる鳩たちもいっぱい集まっています。そんな鳩をモチーフにした、鳩おみくじ・願掛けの鳩置物などの授与品にも注目。

基本情報

六角堂(正式名称:紫雲山頂法寺)
所在地 京都市中京区六角通東洞院西入堂之前町
TEL.075-221-2686
拝観時間 6:00~17:00
拝観料 無料(境内自由)
六角堂 公式サイト

【1】六角堂とは?

六角堂は、聖徳太子が用明天皇2年(587年)に如意輪観音の霊告を受けて、この地に創建したと伝えられます。

ご本尊として如意輪観音像が安置され、早くから人々の崇敬を集めてきました。

六角堂 本堂
▲六角堂

六角堂の歴史

  1. 用明天皇2年(587年)聖徳太子が如意輪観音の霊告を受け、この地に創建。
  2. 弘仁13年(822年)嵯峨天皇の勅願所となる。
  3. 長徳2年(996年)花山法皇の御幸。西国三十三所観音霊場(現18番の札所)となる。
  4. 宝永年間(1704-1711年)、天明年間(1781-1789年)、元治年間(1864-1865年)に焼失。
  5. 明治10年(1877年)本堂再建。

・聖徳太子が創建

聖徳太子は、淡路島に漂着した「如意輪観音像」を念持仏として大切にしていました。

用明天皇2年(587年)四天王寺建立のための材木を探しに、家臣小野妹子とともに京都盆地を訪れた時の事です。こんこんと湧き出る泉で、太子は身を清めるために念持仏を木に掛けました。すると、そのまま念持仏は動かなくなり、光を放って「この地にとどまって人々を救いたい」と告げたそうです。

そのため聖徳太子は、この地に六角形の御堂を建てて「如意輪観音像」を安置しました。それが六角堂の始まりです。

六角堂 聖徳太子
▲聖徳太子の額

・秘仏 如意輪観音菩薩像

ご本尊「如意輪観音菩薩像」は秘仏のため非公開です。

「如意輪観音菩薩」は、名前のとおり、思いのままに願い事をかなえてくれる「宝珠(如意宝珠)」と、煩悩や迷いなどの魔を打ち砕く「輪宝(法輪)」を持っておられます。

人を煩悩や迷いから救済し幸せになる手助けをしてくださるだけではなく、健康長寿、安産、魔除に功徳があるとされています。

さらには、いけばな発祥の地ということから、技芸上達の参拝者も絶えません。

観音菩薩(かんのん ぼさつ)
観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)、救世菩薩(くせぼさつ・ぐせぼさつ)などの別名もあります。一般的には「観音さま」とも呼ばれています。あらゆる人間を苦悩(六道)からを救うと言われ、現世利益と結びついて、時代・地域を問わず広く信仰されています。

六角堂 ポスター
▲如意輪観音菩薩像のポスター

・六角形がモチーフの理由

六角堂の御詠歌があります。
「わが思う心のうちは六(むつ)の角ただ円(まろ)かれと祈るなりけり」

「六の角」とは、人間にある6つの感覚(六根)= 眼(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・舌(味覚)・身(触覚)・意(意識)によって生じる六欲の事で、煩悩や苦しみの原因と考えられています。

それらの欲や迷いを断ち切り、心身が清らかになること、角を無くし、円満になること、すなわち「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」という祈りを込めた形と伝えられています。六根と同じ「六」つながりで「六角」という形にその願いが込められているわけですね。

人間の性である六根を繋ぎ合わせた形を六角形にみたてると、円満(円形)に少し近づけそうな気がする感覚はわかるような気がします^^

六角堂
▲六角堂の屋根は六角形

・いけばな発祥の地

六角堂はいけばなの発祥の地としても有名です。

六角堂の北側に、聖徳太子が身を清めたと伝わる池の跡があります。この池のほとりに、聖徳太子の家臣・小野妹子を始祖とする僧侶の住坊があり「池坊」と呼ばれるようになりました。

初代住職の小野妹子は、華道「池坊」の道祖でもあります。

六角堂の創建が587年。小野妹子が最初の遣隋使となるのは20年後の607年です。

代々六角堂の住職を務める池坊は、仏前に花を供える中でさまざまな工夫を加え、室町時代後期には池坊専応が『池坊専応口伝』と呼ばれる花伝書を著しました。

そこには、単に美しい花を観賞するだけではなく草木の風興をわきまえ、「よろしき面影」を大切にするという高遠な美意識がつづられ、それが悟りの境地につながるものだと説かれています。

この教えは、歴代の家元によって継承され、現在も生き続けています。

六角堂の白鳥
▲聖徳太子が沐浴された古跡にある池には白鳥が優雅に泳いでいます。
ミィコ

六角堂の西側にある「ウエスト18ビル(1Fスタバ)」に入って左の展望エレベーターに乗ると、六角堂を上から見ることができます。エレベーターのボタンも何気に六角形です。

【2】有名な霊験エピソード、見どころ

六角堂には、さまざまな霊験エピソードがあります。
特に有名な、へそ石・縁結びの柳・親鸞の示現をご紹介します。

・へそ石

平安京を造営をする際に、六角堂の場所が都市計画と重なるので、桓武天皇から勅使が派遣され取り壊すようにと指示がありました。

六角堂の僧侶たちが困っていると、にわかに黒雲が立ち込めて寺を覆い、一瞬にして六角堂全体が北へ約15m移動し問題が解決したというのです。

「へそ石」は、本堂が移動した時に礎石の一つが取り残されたものと言われています。当時は、門前の道路にあり、ちょうど京都の真ん中でもあったので「京都の中心」「へそ」「かなめ」として民衆の目印になっていました。

その後、へそ石は六角堂の東門前から、境内の現在地に移されました。

六角堂 へそ石
▲へそ石
都名所図会 6巻. [1]天明6 [1786]
▲都名所図会 6巻 天明6年(1786年)発行 国立国会図書館

・縁結びの柳

平安時代初期。妃を探していた嵯峨天皇はある夜、不思議な夢を見ました。如意輪観音が現れ「六角堂の柳の下を見てみなさい」と告げられたのです。

さっそく帝が六角堂に人を遣わすと、境内の柳の木の下に、とても美しく良い匂いのする女性が佇んでいたそうです。

天皇はその女性を妃に迎え、寵愛したということです。ちなみに、嵯峨天皇には30人近くの妃がいたので、どの妃のことかは定かではないそうです‥

その伝承から、「六角堂の柳に願をかけると良縁に恵まれる」とか「恋が成就する」といった噂が広まり、縁結びや恋が叶う場所として信仰されるようになりました。

本堂前の柳の枝2本を一緒に、おみくじを結んでおくと縁結びの御利益があるといわれています。

六角堂 縁結びの柳
▲縁結びの柳

・親鸞が悟りを開いた場所

浄土真宗の宗祖 親鸞は、2回、如意輪観音の示現を受けています。

  1. 親鸞は29歳の時に比叡山仏教の堕落と偽善を憂いて、建仁元年(1201年)崇敬する聖徳太子の建立と伝えられる六角堂で100箇日間参籠しました。その95日目の暁、「法然のところに行きなさい」と示現を得ます。そのお告げによって、再び百日参籠しながら法然の許へ通い師事することになります。
  2. それから2年後、夢の中で救世観音菩薩の声を聞きます。2回目の示現です。『行者宿報設女犯 我成玉女身被犯 一生之間能荘厳 臨終引導生極楽』(志を持つ者よ、女性を犯すのであれば、私が美しい女性になってお前に犯されてあげましょう。そして一生寄り添い、臨終の際には極楽へ導きましょう)※この夢は「女犯の夢告」と呼ばれています。

それまでの仏教では、僧侶は一切女性に近づいてはならないという、厳しい戒律がありました。その夢から「戒律を守れぬような者にも仏道はあるのだ。」と観音様がお示しくださったと解釈し、その後、妻帯し、後世には弟子たちが日本に新しい救いの教えである、浄土真宗を展開する根源となりました。

六角堂 親鸞堂
▲親鸞堂

親鸞が夢のお告げを聞いている姿「夢想之像」と、六角堂参籠の姿を自刻されたと伝わる「草履の御影」が安置されています。

【3】その他の見どころ

六角堂のある烏丸界隈はオフィス街。お寺はビルに囲まれています。

それほど広くないお寺ですが、本堂の周りには、小さいお堂やお地蔵さま、石不動、唐崎社、鐘楼、モニュメントなど盛り沢山です。その一部をご紹介します。

六角堂の門
▲周りはオフィスビル

・本堂

明治10年(1877年)の再建。
六角形の屋根を二重に重ね、手前には入母屋造、千鳥破風付きの礼堂が設けられています。内陣に秘仏本尊如意輪観音像を安置し、向かって左に毘沙門天立像(重要文化財)、右に不動明王立像が安置されています。

六角堂
▲本堂

・太子堂(開山堂)

六角堂を創建した聖徳太子が祀られています。
聖徳太子二歳像(南無仏)、十六歳像、騎馬像が安置されています。

六角堂 太子堂
▲太子堂(開山堂)

・十六羅漢、お地蔵様

十六羅漢
和顔愛語(わげんあいご)を実践し、いつも「にこにこ」されています。和顔愛語の教えとは、いつも優しい顔で穏やかに話をするよう心がけていれば、必ず良い報いがあると説かれたものです。笑う門には福来ると同じですね^^

六角堂 十六羅漢
▲十六羅漢

一言願い地蔵
欲張らず一つだけ願い事をしてください。きっと叶えてくださることでしょう。

六角堂 一言願い地蔵
▲一言願い地蔵

北向き地蔵尊
京都御所を守るために北を向いておられます。かつて御所を守護することは人々の生活を守ることにつながっていました。私たちの生活を守ってくださる霊験あらたかなお地蔵様です。

六角堂 北向き地蔵尊
▲北向き地蔵尊
六角堂 わらべ地蔵
▲わらべ地蔵

・寺務所、休憩処

六角通りの門から入って右手の建物が寺務所です。御朱印やお守りなどを拝受できます。ご利益も多いので、色々なタイプのお守りが用意されています。

お抹茶(へそ石餅付)500円もこちらでいただけます。

六角堂 休憩処
ミィコ

そんなに広くない境内に見どころがたくさんあります。

【4】御利益・願掛け・おみくじ

六角堂の中へ入ると、幸せになるお手伝いをしてくださる如意輪観音菩薩の霊験で、どんな願い事でも叶える事が出来そうなパワーを感じます。

・御利益

  • 恋愛運・結婚運・玉の輿運・子授け
  • 金運・勝負運
  • 健康長寿など

・白鳩の願掛け絵馬

さりげなく「縁結びの柳」が描かれているので、特に縁結びの願掛けに効果がありそうな絵馬です^^

六角堂 鳩の絵馬
▲可愛い鳩の絵馬

・可愛い鳩の置物おみくじ

六角堂には、平和の象徴とされる鳩たちがいっぱい集まっています。そんな鳩をモチーフにした、可愛い鳩おみくじから神様のメッセージを受け取るのもいいですね!

六角堂 置物おみくじ 白鳩
▲白い鳩のおみくじ
ミィコ

可愛い鳩のおみくじは、寺務所の隣、休憩処のお土産屋さんで購入できます。

【5】アクセス方法

アクセスの良い場所です。三条・河原町・祇園四条から歩いても楽しいです。ただし、いろんなお店に寄り道してなかなかたどり着けないかも!?

・烏丸界隈から

・地下鉄「烏丸御池駅」5番出口より 徒歩3分
・阪急京都線「烏丸駅」21番出口より 徒歩5分
・京阪本線「三条駅」6番出口より 徒歩18分

・市バス「烏丸三条」バス停より 徒歩2分
・市バス「烏丸御池」バス停より 徒歩4分
・市バス「四条烏丸」バス停より 徒歩5分

・京都駅から

・地下鉄烏丸線 国際会館行「烏丸御池駅」まで約6分
※5番出口より 徒歩3分

ミィコ

六角堂は、都会の狭間にあるオアシスのようなお寺です。休憩に参拝するのもおすすめ!

※この記事の史実に関する記載は、六角堂公式サイト、駒札、梅原猛「京都発見2」を参考に作成しました。