洛北 蓮華寺 | 池泉鑑賞式庭園が美しい、隠れた紅葉の名所

洛北蓮華寺 御朱印

蓮華寺は、加賀前田家の重臣・今枝重直(いまえだ しげなお)が晩年に出家して過ごした地に、孫の今枝近義(ちかよし)がその菩提を弔うために創建した寺院。

創建に当たっては、かつて重直と交流があった当時の著名な文化人、石川丈山・狩野探幽らも協力しました。特に書院から眺める江戸時代初期の池泉鑑賞式の庭園が有名です。

青もみじや紅葉の隠れた名所と言われる蓮華寺の歴史や見どころ、御朱印、アクセス方法をご紹介します。

基本情報

蓮華寺 [正式名称:帰命山 蓮華寺]
所在地 京都市左京区上高野八幡町1
TEL.075-781-3494

・拝観時間 9:00~17:00
・拝観料 大人1名 400円
※中学生の修学旅行生は拝観不可

【1】蓮華寺とは?

蓮華寺という寺名は、かつて境内地が同名の廃寺の跡地であったことに由来するそうです。「洛北 蓮華寺」は通称です。

・創建のいきさつ

  1. 加賀前田家の重臣だった今枝重直は、晩年に出家して、この上高野の地に一宅を構えて居住し、石川丈山や狩野探幽らの文化人と交友を深めながら過ごしました。
  2. 重直は上高野の地に寺院を建立することを願っていましたが、果たせずして寛永4年(1627年)に死去。
  3. 寛文2年(1662年)、祖父の徳を慕っていた孫の今枝近義は、重直の菩提を弔うため、応仁の乱で荒廃していた七条塩小路(現在の京都駅付近)にあった浄土宗系の寺院・西来院をこの地に移して再興しました。

    再興の際に開山として比叡山延暦寺の僧・実蔵坊実俊(じつぞうぼうじっしゅん)を招いたことから、天台宗の寺院となりました。

今枝重直 [1554-1627年]
戦国時代~江戸時代前期の武将。織田信長・信雄、豊臣秀吉・秀次につかえる。秀次の死後,越中(富山県)の前田利長にまねかれ,同家の重臣となった。

晩年に至って得度し、詩書や絵画、茶道に通じた文人として草庵を結んだ。また、仏道への帰依の念も深く、上高野の地に寺院を建立することを願っていたが、果たせずして寛永4年(1627年)に死去した。74歳。

出典:Wikipediaより抄録

・当時の文化人も造営に協力

蓮華寺の造営にあたっては、かつて今枝重直と交流のあった著名な文化人も協力しました。

  • 石川丈山 [1583-1672年]:詩人・書家で詩仙堂を造営
    ・本堂の寺号の扁額。
    ・今枝重直の碑の篆額。
  • 木下順庵 [1621-1698年]:朱子学者
    ・今枝重直の碑の撰文。
  • 狩野探幽 [1602-1674年]:狩野派画家
    ・本堂天井の龍の図(明治期に失われた)
    ・今枝重直像、庭園古絵図は現在、和泉市久保惣記念美術館の所蔵。
  • 隠元隆琦 [1592-1673年]:黄檗宗萬福寺開山
    木庵性瑫 [1611-1684年]:黄檗宗萬福寺第二世
    ・本堂や鐘楼は黄檗宗の様式です。
ミィコ

今枝重直さんは孫だけではなく、文人仲間からも慕われた方だったんですね。

【2】蓮華寺の見どころ

石川丈山作とも伝わる、書院から眺める池泉鑑賞式庭園が有名です。
さらには、天台宗の寺院でありながら、黄檗宗の建築様式の本堂や鐘楼堂があるところもチェックポイント。

・山門から庫裏へ

山門をくぐると、まず左手に石仏群(300体ほど)が目に入ります。そして右手には鐘楼堂と土蔵、正面は参道と庫裏の入口があります。

インパクトのある石像群は、近代に河原町周辺からこの地に移されたものです。

蓮華寺 石仏群
京都市電河原町線の敷設工事(明治終期~大正初期)に際して発掘されたものである。河原町周辺はかつて戦災や天災による死者や刑死者の屍が打ち捨てられる遺棄葬の場であった。そうした死者を弔うための石仏群が、鴨川の氾濫によって埋没していたものが工事によって掘り起こされ、供養されているのがこの石仏群である。これらの石仏群はいずれも大日如来像で、中央には地蔵菩薩像が配されている。

出典:Wikipediaから抄録
洛北蓮華寺 石像群
▲石仏群
洛北蓮華寺 庫裏
▲庫裡

・書院と池泉鑑賞式庭園

書院の東側から庭園を一望することが出来ます。
正式な作庭者は不詳ですが、石川丈山の作とも言われているそうです。

通常このタイプの庭園は、池の周囲を巡り歩くことを想定して作庭されることから池泉回遊式と呼ばれますが、蓮華寺の場合は規模も小さく書院からの鑑賞となるため池泉鑑賞式だそうです。

洛北蓮華寺 書院
▲書院
洛北蓮華寺 庭
▲池泉鑑賞式庭園

・本堂

蓮華寺は天台宗の寺院ですが、造営に黄檗宗の僧が協力したので、本堂の建築様式は黄檗宗スタイル。

書院から見えるのは本堂の裏側なので、ぐるっと回って正面へ行きます。本堂の前には、茶人たちに好まれたという、ちょっと変わった形の蓮華寺形灯籠2基を見ることが出来ます。

本堂入り口の寺額は石川丈山の筆。堂内中央の須弥壇には螺鈿厨子に収められた本尊・釈迦如来像が安置されています。螺鈿厨子は明朝初期の中国製で、加賀藩が輸入したものと推定されています。

また、かつて天井には狩野探幽が描いたとされる龍の図があったそうです。残念ながら明治期に失われ、現在の絵は昭和53年(1978年)仏師の西村公朝によって復元されたものです。

洛北蓮華寺 本堂
▲右手に本堂の裏側
洛北蓮華寺
▲本堂、庭の通路では撮影禁止
ミィコ

本堂の周りは、ぐるっと一周して正面から参拝しましょう。蓮華寺形灯籠もお見逃しなく!

【3】御朱印

御朱印には「瑞光(ずいこう)」と書かれています。

蓮華寺のご本尊は釈迦如来。「瑞光」とはお釈迦様の光を意味し、一般的には「めでたい光。めでたいしるしを表わす光。吉兆の光。」という意味で使われる言葉です。

拝観の栞も可愛いです^^ 裏面に蓮華寺の紹介文があります。

蓮華寺御朱印とパンフレット
▲蓮華寺 御朱印と拝観の栞
ミィコ

御朱印帳にも書いていただく事もできます。初穂料は1枚300円です。

【4】蓮華寺 アクセス

お薦めの交通手段は叡山電車。レトロな雰囲気が魅力の旅情あふれる路面電車です。
京都バスは30分に1本なのでご注意。

最寄り駅

  • 京都バス「上橋(かんばし)」から徒歩約1分。
  • 叡山電車「三宅八幡駅」から徒歩約7分。

    三宅八幡駅前の蓮華寺のサインの方向へ。高野川を渡って右折し川沿いに直進。徒歩約7分。
▲高野川

・叡山電車 出町柳駅から

叡山電車 八瀬比叡山口 行きに乗車「三宅八幡駅」下車。乗車時間:約11分。

・京阪電車 三条京阪から

※三宅八幡駅までの合計所要時間 約24分~37分

(1) 京阪本線 特急 出町柳行「出町柳駅」まで約5分。
→ [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
(2) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。

・京都駅から

  • 京都駅前バスターミナルから京都バス
    京都バスは乗り換えなしで楽ですが、本数が少ないのでご注意。
    ★京都駅前バスターミナルのりば案内
    [C3のりば] 京都バス17、18 大原行き「上橋」まで約51分。
  • 地下鉄→ 京都バス
    京都バスの時間に合わせるのがポイント。
    ※上橋までの合計所要時間 約33分~63分。

    (1) 地下鉄 国際会館行「国際会館駅」まで約20分
    → [国際会館駅 3番出口/京都バスに乗り換え]→
    (2) 京都バス19 大原行「上橋」まで約6分。
    国際会館バス停地図
  • JR奈良線→ 京阪電車→ 叡山電車
    ※三宅八幡駅までの合計所要時間 約45分~60分。

    (1) JR奈良線 宇治・奈良方面行「東福寺駅」まで約3分。
    → [東福寺駅 京阪本線に乗り換え]→
    (2) 京阪本線 出町柳行「出町柳駅」まで約17分。
    → [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
    (3) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。
  • 京都ステーションループバス→ 京阪電車→ 叡山電車
    京都駅中央口から東へ徒歩約2分に位置するホテル「ザ・サウザンド キョウト」前から乗車、京阪七条で京阪電車に乗り継ぎ。
    京阪電車ご利用の方は、片道100円で利用できます。事前に乗継割引券を忘れずにもらいましょう。※ステーションループバス詳細:京阪電車公式サイト

    ※三宅八幡までの合計所要時間:約40分~55分。

    (1) 京阪七条-京都ステーションループバス 京阪七条まで約5分
    → [京阪七条駅 京阪電車に乗え]→
    (2) 京阪本線 出町柳行「出町柳駅」まで約9分。
    → [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
    (3) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。

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ミィコ

旅情あふれる叡山電車で行くのがお薦めです。

※この記事の史実に関する記載は、蓮華寺駒札、書籍「京都の寺社505を歩く」「歴史の都洛北を歩く」、Wikipedia、コトバンク等を参考に作成しました。