三宅八幡宮は、遣隋使 小野妹子によって創建された神社がはじまりです。
幕末頃からは、こどもの守り神としての信仰が盛り上がり現在に至ります。
神様の使徒は鳩。子供の成長を祈る願掛けの神鳩置物をはじめとして、鳩の絵馬やおみくじなどの授与品も充実。境内には、あちらこちらに鳩のモチーフを発見することができます。
ご利益や由緒、見どころ、三宅八幡茶屋、アクセス方法をご紹介します。
タップできる|目次|
【1】三宅八幡宮 ご利益
御祭神の八幡大神は、一般的には武勇長久、出世開運の御利益がうたわれますが、三宅八幡宮では創建の由緒から病気平癒の御利益が有名です。
特に、こどもの守り神として信仰されています。
・こどもの守り神
子供の守り神として、「疳の虫封じ」「子供の病気平癒」「夜なき」「学業成就」のご利益で知られています。特に、幕末~明治末期にかけて、疳の虫封じの信仰が高まりました。
皇室とのゆかりも深く、幼少の明治天皇が病を患った時、三宅八幡宮に祈祷が命じられ、無事快癒された結果「子供の神様」として、さらに広く伝播されていったという記録が残っているそうです。
疳の虫(かんのむし)
(一社)大阪小児科医会サイトより抄録
「疳」というのは、古来子どもの様々な病状を指す言葉であり、そのような状態を起こすもの(虫)が体内にいるととらえられていたようです。
現代では、夜泣きやかんしゃくなど、主に子どもの心の緊張状態を表す言葉として使われることがほとんどです。
・害虫駆除
虫退治の神様として「害虫駆除」などの御利益も知られます。
地元の伝承では、もともと「田の虫除け」の神だったのが、後に「子供の虫除け信仰」に変わっていき、幕末から明治にかけて信仰が拡大したといわれています。
「虫」つながりのご利益が興味深いですね^^
【2】三宅八幡宮 由緒
推古天皇の時代(飛鳥時代/592年〜710年)の遣隨使 小野妹子が、宇佐八幡宮より八幡大神を勧請して建立したと伝わります。
・小野妹子が創建
社伝によると、小野妹子が遣隋使として隋へ向かう途中、築紫で病に伏し、近くの宇佐八幡宮に祈願したところ間もなく全快。
随でも無事に過ごすことできたため、帰国後に宇佐八幡宮を勧請し八幡大神(第15代天皇 応神天皇)をお祀りしたと伝えられます。
※宇佐八幡宮:全国に約44,000社ある八幡宮の総本社。
造営当初は、伊太多神社(大正4年からは崇道神社の末社)の末社の一つとして現在地より南に建てられたようです。
・「三宅」の由来
正確な由来は不明。
後鳥羽上皇の第四皇子頼仁親王の血を継ぐ南朝の忠臣 児島高徳(別名:備後三郎三宅高徳)が八幡大神を尊崇していたことから、いつしか「三宅八幡宮」と呼ばれるようになったという説や、大化の改新前の大和朝廷の直轄地である屯倉(みやけ)が置かれたからという説があるそうです。
・神鳩置物のならわし
お宮参りの際に、つがいの鳩の置物「神鳩(しんばと)」を授けてもらい、子供が無事成長したら、お礼にお返しにくるというならわしがあります。
神鳩は素焼きに青い色をつけた、つがいの鳩の置物です。金色の首の輪があるほうがオス、ないほうがメスです。
※インターネットでの購入も可能です。
神鳩以外にも、お守りなど色々な授与品が用意されています。
三宅八幡宮 公式サイト
「病気を治す」というご利益は、飛鳥時代から脈々と引き継がれているんですね。
【3】三宅八幡宮 見どころ
本殿には奉納された小さいエプロンがいっぱい。子の健やかな成長を願う親心は、いつの時代も変わらないですね。 八幡宮ならではの、鳩の授与品やお菓子なども素朴でいい感じです。
豊かな自然に囲まれた境内は、ご近所の方たちの憩いの場でもあるようで、ベンチでくつろいだり、鳩にエサをあげたり、お茶屋さんでおしゃべりしたりと、それぞれの週末の午後を楽しむ姿が印象的でした。
・本殿と拝殿
社殿は応仁の乱(1467-77)の戦乱で全焼し、明治2年(1869年)に拝殿、明治20年(1887年)に本殿が近隣住民の尽力によって復旧されました。
・神様の使徒「鳩」たち
八幡宮の「鳩」は、宇佐八幡宮から石清水八幡宮へ八幡神を勧請した際に、白い鳩が道案内をしたと伝えられ、以来、「神様の使い」 として大切にされてきました。
ただ、三宅八幡宮と鳩との関係がこれほど深いものとなった時期やその理由などは不明だそうです。
・三宅八幡宮 絵馬資料館
かつて絵馬堂に保管されていた大量の大絵馬が、資料館で公開されています。
三宅八幡神社 奉納 子育て祈願絵馬
※国の「重要有形民俗文化財」124点 指定(2009年)
三宅八幡神社 奉納 育児・成人儀礼関連絵馬
※京都市「有形民俗文化財」133点 指定(2001年)
幕末から明治期にかけて神社に奉納された、大型の扁額絵馬群は参詣行列や参拝風景が中心。時代性や地域性がうかがえる資料であるとともに、育児・成人習俗というテーマに沿った絵馬として高い評価を受けています。
三宅八幡宮 絵馬資料館
開館日 随時
※入館ご希望の方は社務所へお越しください。
開館時間 10:00~15:00
料金 志納
地元の人々に大切にされている神社です。鳩たちにエサをあげつつ休憩したり、鳩モチーフを探してみるのもいいですね!
【4】可愛い鳩のおみくじ
白い鳩の置物に中に、紙のおみくじが入っています。初穂料300円。
置物は持って帰ってもいいし、奉納してもOKです。
可愛い置物型のおみくじを発見すると、通り過ぎる事はできません^^
【5】三宅八幡茶屋
参道にある、カジュアルなお茶屋さん。鳩餅、でっちようかんが名物です。
営業時間 9:00~16:00
定休日 火曜日
※日曜営業
・名物 鳩餅
鳩をかたどった「鳩餅」は、三宅八幡宮の隠れた人気商品。米の粉を蒸したもので、むっちりとした食感と、あっさりした甘さが特徴の素朴お菓子。白、ニッキ、抹茶の三種類です。
茶店のお茶セットで頂く事ができます^^
・でっちようかん
お土産に購入しました。ラベルの鳩も可愛いです。こちらも控えめな甘さで、普通の羊羹は甘すぎてちょっと苦手な方にもおすすめです。
原材料:砂糖、大納言小豆、黒糖、こし餡、小麦粉、寒天
でっちようかんは、近所だったらリピート間違いなし^^
【6】三宅八幡宮 アクセス
お薦めの交通手段は叡山電車。レトロな雰囲気が魅力の旅情あふれる路面電車です。
京都バスは30分に1本なのでご注意。
最寄り駅
- 叡山電車「三宅八幡駅」から徒歩約10分。(表参道を歩くコース)
※距離が近いのは「八幡前駅」で下車 徒歩約4分。 - 京都バス「三宅八幡」から徒歩約7分。
三宅八幡駅からの目印
駅前に三宅八幡神社の石碑があります。蓮華寺の方向(左)へ歩いて行くと高瀬川があり、川向うに鳥居が見えます。鳥居をくぐって直進していくと三宅八幡宮に到着です。
・叡山電車 出町柳駅から
- 叡山電車 八瀬比叡山口行に乗車「三宅八幡駅」まで約11分。
※「八幡前駅」は、鞍馬行・二軒茶屋行に乗車 約11分。
・京阪電車 三条京阪から
※三宅八幡駅までの合計所要時間 約24分~37分。
- 京阪電車→ 叡山電車
(1) 京阪本線 特急 出町柳行「出町柳駅」まで約5分。
→ [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
(2) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。
※「八幡前駅」は、鞍馬行・二軒茶屋行に乗車 約11分。
・京都駅から
- 京都駅前バスターミナルから京都バス
京都バスは乗り換えなしで楽ですが、本数が少ないのでご注意。
★京都駅前バスターミナルのりば案内
[C3のりば] 京都バス17、18 大原行き「三宅八幡」まで約50分。 - 地下鉄→ 京都バス
京都バスの時間に合わせるのがポイント。
※三宅八幡までの合計所要時間 約30分~60分。
(1) 地下鉄 国際会館行「国際会館駅」まで約20分。
→ [国際会館駅 3番出口/京都バスに乗り換え]→
(2) 京都バス19 大原行「三宅八幡」まで約4分。
★国際会館バス停地図
※バスの本数は1時間に2、3本。
※徒歩の場合は、三宅八幡宮まで約20分。 - JR奈良線→ 京阪電車→ 叡山電車
※三宅八幡駅までの合計所要時間 約45分~60分。
(1) JR奈良線 宇治・奈良方面行「東福寺駅」まで約3分。
→ [東福寺駅 京阪本線に乗り換え]→
(2) 京阪本線 出町柳行「出町柳駅」まで約17分。
→ [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
(3) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。
※「八幡前駅」は、鞍馬行・二軒茶屋行に乗車 約11分。 - 京都ステーションループバス→ 京阪電車→ 叡山電車
京都駅中央口から東へ徒歩約2分に位置するホテル「ザ・サウザンド キョウト」前から乗車、京阪七条で京阪電車に乗り継ぎ。
京阪電車ご利用の方は、片道100円で利用できます。事前に乗継割引券を忘れずにもらいましょう。
※三宅八幡までの合計所要時間:約40分~55分。
(1) 京阪七条-京都ステーションループバス 京阪七条まで約5分
→ [京阪七条駅 京阪電車に乗え]→
(2) 京阪本線 出町柳行「出町柳駅」まで約9分。
→ [出町柳駅 叡山電車に乗り換え]→
(3) 叡山電車 八瀬比叡山口行「三宅八幡駅」まで約11分。
※「八幡前駅」は、鞍馬行・二軒茶屋行に乗車 約11分。
詳細は 京阪電車公式サイト
旅情あふれる叡山電車で行くのがお薦めです。
【7】近くの名所旧跡
京都で一番怖い神社?崇道神社や、江戸時代の文化人の協力で造営されたという蓮華寺などがあります。
・崇道神社
御祭神は早良親王(さわらしんのう)
崇道神社の名称は、追号された崇道天皇(すどうてんのう)に由来します。
早良親王は桓武天皇の弟で皇太子。延暦4年(785年)藤原種継暗殺事件に連座したと疑われ、淡路国に送られる途中に憤死。その後、多発した病気や災害は親王の祟りによるものとされ、桓武天皇は「崇道天皇」の尊号を追贈。後にさらなる鎮魂のために神社が建立されました。
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・蓮華寺(洛北蓮華寺)
蓮華寺は、比叡山延暦寺を本山とする天台宗の寺院。黄檗宗様式の建築と江戸初期の池泉鑑賞式の典型ともいえる庭園が見どころ。また、蓮華寺形灯籠と呼ばれる石灯籠があり、江戸時代の茶人に好まれたそうです。
造営にあたっては、詩人・書家で詩仙堂を造営した石川丈山、朱子学者の木下順庵、狩野派画家の狩野探幽、黄檗宗の開祖 隠元隆琦や第二世 木庵性瑫らが協力したと記録に残っています。
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洛北は山が近くて、特に空気が澄んでいるような気がする地域です。だから寺社が多いのでしょうか^^
※この記事の史実に関する記載は、三宅八幡宮公式サイト、駒札、書籍「京都の寺社505を歩く」、Wikipedia等を参考にしました。
三宅八幡宮
所在地 京都市左京区上高野三宅町22
TEL.075-781-5003
ご祈祷受付 9:00~15:00
社務所受付 9:00~16:00
三宅八幡宮 公式サイト