高台寺 | 秀吉・ねね の寺を散策。圓徳院共通拝観券がお得

高台寺 夢

「高台寺(こうだいじ)」は、高台院(北政所 ねね)が秀吉の菩提を弔うために建立したお寺。

見どころは、小堀遠州作と言われる庭園、絢爛豪華な装飾がしのばれる開山堂、豪華な蒔絵で飾られた霊廟、茶室、竹林の道など盛りだくさん。

「圓徳院(えんとくいん)」は高台院の元住居で、こちらも小堀遠州が整庭したと言われる庭や、美しい襖絵などを楽しめます。

お得なチケット情報や見どころをご紹介します。

さらには、京都の寺院で最初にライトアップを始めたり、アンドロイド観音を作った高台寺、新しい試みにも注目です!

基本情報

高台寺(正式名称:高台寿聖禅寺)
所在地 京都市東山区下河原町526
TEL. 075-561-9966
拝観時間 9:00~17:30(17:00受付終了)
拝観料 大人600円、中高生250円(掌美術館含む)
高台寺 公式サイト

【1】お得な共通拝観券

高台寺だけではなく、圓徳院も拝観するかどうか決めておきましょう。

高台寺のみ拝観の場合は大人 600円(掌美術館含む)。高台寺と圓徳院の両方を訪ねるなら共通割引拝観券 900円(高台寺・掌美術館・圓徳院)が断然お得。

高台寺の美しい写真絵葉書セット(4枚入)も付いてきます^^

・拝観券の種類と購入場所

共通拝観券は高台寺、圓徳院、掌美術館で購入できます。

  • 共通割引拝観券 大人 900円
    (高台寺・掌美術館・圓徳院 ※絵葉書セット付き)
  • 高台寺 拝観券 大人 600円、中高生 250円(掌美術館含む)
  • 圓徳院 拝観券 大人 500円、中高生 200円(掌美術館含む)
高台寺共通拝観券
▲高台寺パンフレットと絵葉書セット(絵葉書の組み合わせは色々あるようです)

・高台寺と圓徳院 拝観時間

それぞれ拝観時間が異なります。朝と夕方は気を付けましょう。

圓徳院から高台寺へは、高低差のある台所坂を上って行きます。もし、祇園四条から清水寺へ行く途中に圓徳院と高台寺を参拝する予定なら、圓徳院を先に拝観すると、坂道の移動が一度ですみます。

  • 高台寺/9:00~17:30 (17:00受付終了)所要時間:約40分
    ※夜間特別拝観期間 17:00~21:30 受付終了(22:00閉門)
  • 掌美術館/9:30~18:00 所要時間:約10分
    ※夜間特別拝観期間 21:30 受付終了
  • 圓徳院/10:00~17:00(17:30閉門) 所要時間:約30分
    ※夜間特別拝観期間 日没後~22:30 受付終了(23:00閉門)
台所坂
▲台所坂|ねねが圓徳院から高台寺に通った坂道
ミィコ

高台寺の周辺は、風情のある京都の街並みが素敵!

【2】高台寺とは?

高台寺は、臨済宗 建仁寺派の禅寺。

豊臣秀吉の菩提を弔うため、北政所ねね によって建立された寺院ですが、現在では秀吉と北政所を祀る霊廟としての性格ももっています。

・高台寺のあゆみ

  1. 慶長3年(1598年)豊臣秀吉 死去。
  2. 慶長8年(1603年)北政所ねね は、後陽成天皇より「高台院」の号を賜わったことをきっかけに、秀吉の菩提を弔う寺院建立を発願。
  3. 慶長11年(1606年)徳川家康の援助により壮麗を極めた大寺 高台寺が完成。
  4. 元和10年/寛永元年(1624年)北政所 死去。高台寺に葬られました。

その後は、度重なる焼失や地震による倒壊などの被害を受けます。再建を繰り返し存続していましたが、明治元年(1868年)神仏分離令後の廃仏毀釈により荒廃。翌年発布された上知令により寺領も9万5000坪が1万5000坪に減らされ、太平洋戦争時代にさらに荒廃しました。

その後、修復・再建・整備が進められ現在に至ります。

豊国神社
豊臣秀吉は没した翌年に朝廷から「豊国乃大明神(とよくにのだいみょうじん)」の神号が与えられ、神様として「豊国神社」に祀られていました。
慶長20年(1615年)に豊臣家が滅亡すると、徳川家康の命で豊国神社は廃絶。後に明治天皇の勅命により再興されました。

高台寺 入口
▲高台寺の入り口

・なぜ徳川家康が援助?

当初、ねねの実母・朝日局が眠る康徳寺(京都の寺町あたり)をそれに充てようとしましたが、自分自身の終の棲家も必要なので、もう一寺を建立する事になりました。

それを聞きつけた徳川家康は、東山の旧雲居寺(うんごじ|平安期草創の大寺)の跡地を用意し、慶長10年(1605年)康徳寺を移転(後に塔頭 玉雲院と改称)、伽藍を整備するなど多額の援助をします。そして、慶長11年(1606年)に壮麗を極めた大寺 高台寺が完成しました。

秀吉の没後、豊臣家の家督は秀頼が継ぎ、五大老や五奉行がこれを補佐する体制が合意されました。中でも徳川家康は、秀吉から「秀頼が成人するまで政事を家康に託す」という遺言を受けていたため五大老筆頭と目されていました。

家康は、秀吉の賢夫人と評判が高い北政所を厚遇することは徳川家にとっても大いに利益がある!と判断して高台寺建立に多額の援助をしたと考えられています。

ミィコ

さすが計算高さで有名な家康さんです。豪華な伽藍が残っていないのは残念ですが、土地の一部は駐車場として役立っていますね^^

・有名な衝立「夢」の由来

台所坂を上りきって門をくぐり、左手に進むと正面に高台寺の庫裡(くり)が見えてきます。

昼間はうっかりスルーして拝観受付に向かってしまいそうですが、近くに寄って格子戸の中を覗いてみてください^^

格子戸の隙間から、昭和・平成を代表する臨済宗の禅僧・湊 素堂(みなと そどう) が描いた、印象的な書「夢」の衝立を見ることができます。

高台寺 庫裏
▲庫裡の格子戸の向こうに「夢」があります
高台寺 夢
▲湊素堂 筆「夢」。

「夢」の一字は、豊臣秀吉の辞世の和歌からとられました。

秀吉とねねは、夢を追いつづけ、天下統一し夢を実現したようにも見えますが‥ 結局人生とは夢幻だった、という境地に至ったのですね‥

豊臣秀吉の辞世の和歌
「つゆとをち つゆときへにし わかみかな なにわの事も ゆめの又ゆめ」

「露のように生まれ、露のように消えていく、わが身であることよ。人生の何もかもが、はかない夢幻のようなものであった。」

禅僧が「夢」という一字を書く時は、「人生は畢竟(ひっきょう)夢なり=人生は結局、実体がなく夢幻で、はかないものである」という意味を託しているそうです。

そこから伝えようとしているのは、「人生は短く一回限り。いつか死ぬからこそ、生きていることは尊い。今日一日一瞬を大切に、悔いなく力いっぱいに生きよう」という教えです。

「夢」の一字というと、沢庵和尚の辞世の偈(げ)が有名。この世のすべての事がらは夢である、とともに、悟りの安らかな境地を「夢」の一字に表したとも解釈されています。

※沢庵和尚:安土桃山時代~江戸時代前期の臨済宗の僧

ミィコ

禅の言葉は奥深いですね。普通、「夢」というと、将来の理想や希望、ビジョン、もしくは睡眠中にみる夢を連想しますよね。

【3】高台寺の見どころ

見どころは、桃山時代を代表する小堀遠州作と言われる庭園、創建当初の豪華な装飾がしのばれる開山堂、豪華な蒔絵で飾られた霊廟、茶室など。

創建時は、伏見城の一部も移築され壮麗を極めたと伝わります。駐車場、霊山観音の社域にも伽藍が建ち並んでいたそうです。現在、西にぽつんと残されているように見える表門がその名残と言えます。

その後、数度の火災で仏殿・方丈などを焼失。創建時の姿が残るのは、表門・開山堂・霊屋・茶室傘亭・時雨亭・観月台等になります。仏殿は焼失後再建されず、方丈・庫裏・書院も創建当時のものではありません。

見学所要時間は、40分~50分。

・小堀遠州作の庭園(名勝)

桃山時代を代表する庭園として知られています。開山堂の東の臥龍池(がりょうち)と、西の偃月池(えんげつち)を中心とする庭園で、注目すべきは石組みだそうです。

偃月池には北に亀島、南の岬に鶴島が石組で作られていますが、参拝通路から離れているので少しわかりにくいかもしれません。

高台寺名勝庭園
▲亀島と鶴島、素人にはわかりにくいです^^
高台寺名勝庭園
▲開山堂と楼船廊
高台寺名勝庭園

・観月台

開山堂から西につづく屋根付きの廊下・楼船廊(ろうせんろう)の中央にある檜皮葺きの小さな建物が観月台。唐破風の屋根の下から、ねねが秀吉を偲んで月を見たといわれる場所です。ロマンチックですね。※立入禁止

高台寺名勝庭園 観月台

・開山堂

高台寺第一世の住持、建仁寺の三江紹益(さんこう じょうえき)を祀ります。内部の装飾は、経年劣化で色褪せていますが、よく見ると創建当時の絢爛豪華さがしのばれます。北政所の御所車の天井、秀吉が使った御船の天井の装飾が再利用されています。

そして建物の側面からは屋根付きの廊下、観月台のある楼船廊 、開山堂と霊屋を結ぶ臥龍廊(がりょうろう)が続き、移動できるようになっています。※立入禁止。臥龍廊という名は、龍の背に似ているところから付けられたそうです。

※ご担当者より説明を聞くことが出来ます。内部は写真不可。

高台寺 開山堂
▲開山堂
高台寺
▲臥龍廊

・霊屋(おたまや)

ねね はこの霊屋の地下に埋葬されているそうです。

霊屋の内部中央の厨子には、大随求菩薩(だいずいぐぼさつ)像、向かって右に豊臣秀吉坐像、左に北政所ねねの片膝立の木像が安置されています。

見どころは「高台寺蒔絵」と呼ばれる、厨子などの調度品に施された華麗な蒔絵。桃山時代の漆工芸技術の粋を集めたもので、秋草模様や菊桐紋が特徴です。

※ご担当者より説明を聞くことが出来ます。2019年7月は改修中で中部はちらっと覗けるという感じでした。

霊屋ディティール
▲一部は華やかに改修されていました
高台寺チケット
▲高台寺蒔絵、高台寺チケットより

・方丈前庭「波心庭」

禅寺らしい枯山水庭園。春の桜と言えば、真っ先にこのお庭の枝垂れ桜が思い浮かぶ人も多いかもしれません。ライトアップの名所でもあります。

波心庭(はしんてい)とは禅語「無雲生嶺上 有月落波心」からきているそうです。

雲がかからなければ、月が水面に映えて美しいという意味で、「雲」は心の迷い「月」の光は悟りを表しています。

高台寺 方丈前庭
▲方丈前庭「波心庭」

・茶室 傘亭、時雨亭

千利休の意匠による茶席と言われ、伏見城から移築したものです。ただし利休は伏見城の築城前に自刃。本当のところはどうなんでしょ?

茶室 傘亭
▲傘亭

傘亭は、内部の天井の形が唐傘に似ているところから。
時雨亭は、珍しい2階建ての茶室。両茶室はもともとは別々に建っていて、移転時に廊下が付加されたと考えられています。

茶室 時雨亭
▲時雨亭
竹林
▲竹林もあります
ミィコ

境内の参拝コースは変化にとんでいて、ひと時の散策を楽しめます^^

【4】期間限定の見どころ

春の桜・秋の紅葉が美しい季節になると、日没後にライトアップが行われます。毎年、趣向を凝らした光の演出で、昼間とは違った雰囲気を楽しめます。

アンドロイド観音の公開日時・時間は、高台寺公式サイトでご確認ください。

・高台寺ライトアップ

  • 春の夜間特別拝観 3月~5月頃
  • 秋の夜間特別拝観 10月~12月頃

ライトアップは混雑するので、ゆっくり楽しむという感じではないです^^

・アンドロイド観音

公開日時・時間は、高台寺公式サイトでご確認ください。

仏教をより身近に感じてもらうために開発された、動いて、話して、目を合わせる事のできるアンドロイド観音「マインダー」です。 いかにもアンドロイドっぽい金属部分がむき出しになっているのが印象的。

高台寺の後藤典生執事長と大阪大学の石黒浩教授との対談をきっかけに、総事業費1億円をかけて誕生しました。石黒教授は、マツコ・デラックスさんそっくりのアンドロイド「マツコロイド」を開発したロボット工学研究者です。

ミィコ

新しい試みにチャレンジされているの姿勢が素晴らしいです!

【5】高台寺アクセス

祇園四条・京都河原町駅からは徒歩で移動です。バスで少し近くまで行くことも出来るけれど、待ち時間を考えたら歩くのがおすすめ。

この界隈は京都らしい町並みも魅力の1つ。高台寺拝観後は、清水寺へも二年坂・産寧坂を通って徒歩15分くらいで行くことができます。

・祇園四条から

  • 最寄り駅:京阪本線「祇園四条」、阪急京都線「京都河原町駅」
  • 最寄りバス停:「祇園」

祇園四条からの、お薦め参拝ルート

まずは四条通りを東へ。突き当りにある八坂神社 西楼門から入り、本殿に参拝。そして南楼門から出て、ねねの道を通って圓徳院→高台寺に向かいます。

京都の町
▲高台寺 駐車場からの眺め

・京都駅から

八坂神社も参拝する場合はバス停「祇園」で降りましょう。八坂神社に行かない場合は、高台寺に一番近いバス停は「東山安井」になります。

  • 市バス
    ★京都駅前バスターミナルのりば案内
    [D1のりば] 市バス100 清水寺祇園・銀閣寺行き「祇園」まで約18分。
    [D2のりば] 市バス206 三十三間堂・清水寺・祇園・百万遍行き「祇園」まで約21分。
ミィコ

祇園からのコースをご紹介しましたが、清水寺から高台寺→祇園へ向かうのもおすすめです。清水寺からは下りのコースになります^^

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※この記事の史実に関する記載は、高台寺公式サイト、高台寺パンフレット、駒札、書籍「京都の寺社505を歩く」等を参考に作成しました。