月読神社 | 神功皇后ゆかりの「月延石」を祀る、安産守護のお社

月読神社 鳥居

月読神社(つきよみじんじゃ)は、神功皇后ゆかりの「月延石(つきのべいし)」をお祀りしていることから、古来、安産の御利益で篤く信仰されています。

松尾山の麓にひっそりと鎮座され、キラキラした華やかさはないですが、霊験あらたかな雰囲気に包まれたお社です。

場所は、京都最古の神社の一つ「松尾大社(まつのおたいしゃ)」のすぐ近く。由緒や見どころ、アクセス方法をご紹介します。

基本情報

月読神社
所在地 京都市西京区松室山添町15
TEL.075-394-6263
境内無料
月読神社 公式サイト

【1】月読神社とは

その昔、壱岐氏が壱岐島(いきのしま)において、月神(月読命)を海上の神として奉斎していました。この壱岐島の「月読神社」が全国に点在する月読神社の総本社とされています。

後に京都へ勧請されるにあたっては、山城国と深く関係する渡来系氏族・秦氏が関わっていた可能性が強く、古代京都の神祇信仰や渡来文化を考える上で重要な意味を持つ神社です。

月読神社 鳥居
▲月読神社

・月読神社の歴史

京都の月読神社の創建は6世紀中頃から後半と推測されています。延喜式では明神大社の一つに数えられました。

  1. 壱岐氏が壱岐島に「月神」を海上の神として奉斎。月読神社(長崎県壱岐市)
  2. 『日本書紀』によれば、顕宗天皇3年(487年)、豪族・阿閉臣事代(あへのおみことしろ)に月神から社地を求める神託があり、朝廷は山背国葛野郡の「歌荒樔田(うたあらすだ)」の地を献上。壱岐島にある「月読神社」から月神を勧請したのが始まりと伝わります。
  3. 舒明天皇 [在位:629-641年] の時代、安産の神として信仰される「月延石」が月読神社に奉納されました。
  4. 斉衡3年(856年)水害の危険を避けるため、月読社は現在の松尾山麓に遷座。
  5. 延喜6年(906年)正一位・名神大社の神階になりました。
  6. 近世になると松尾大社に従属。明治10年(1877年)には松尾大社の摂社として公式に定められ現在に至ります。

・御祭神

  • 月読尊(ツキヨミノミコト/ツクヨミノミコト)

月読尊は日本神話に登場する「月の神」。

伊奘諾尊(イザナギノミコト)の子で、天照大神(アマテラスオオミカミ)の弟、素戔嗚尊(スサノオノミコト)の兄にあたります。

名前の「つく」は月の古語、「よみ」はひとつずつ数えること。月齢(暦)を数えるという意味からも、壱岐島では月の満ち欠け・潮の満ち引きをつかさどる海上の神として信仰されていたようです。

安産との関係
月の満ち欠けと女性の生理周期はほぼ同じサイクル。特に出産は満月・新月に影響されるといわれています。

・御利益

暦を司る月読尊と神功皇后ゆかりの「月延石」の霊験で、安産の神様として有名です。

  • 安産守護
  • その他の御利益
    ・縁結び、恋愛成就/むすびの木
    ・学問の神/聖徳太子社
    ・海上交通安全・水難除/御船社
    ・厄除け/解穢の水
月読神社 看板
ミィコ

月の満ち欠けは、女性の身体のリズムに少なからず影響を与えているようです。そこから安産の御利益に繋っているんですね。

【2】月延石とは

神功皇后ゆかりの「月延石」は「安産石」とも呼ばれ、子授け・安産の神として信仰されています。

・由緒

日本書紀によると200年頃、神功皇后(第14代 仲哀天皇の皇后)は臨月であるにもかかわらず、神託に従い朝鮮半島の新羅征伐に向かいました。

その際、お腹に石(月延石)を当ててさらしを巻き、冷やすことによって出産を遅らせ、新羅征伐(結果的には三韓征伐)を達成。そして筑紫へ凱旋した後に第15代 応神天皇(八幡大神)を無事出産しました。

月延石への信仰はこのエピソードに由来しています。

月延石は、かつて筑紫国伊都県にありましたが、後に落雷により三段に分かれたそうです(筑前国風土記)。そして飛鳥時代の630年、第34代 舒明天皇は伊都に使者を遣わし、この割れた神石の一段を京都に持ち帰り奉納したと伝わります(雍州府志)。

・安産祈願のしかた

月延石を撫でて御神威を受け取ります。
※奉納されている白い祈願石は安産ご祈祷の撤下品のひとつです。

月読神社 月延石
▲月延石と白い祈願石
ミィコ

見た目は普通の石ですが、霊力を秘めているようです。

【3】月読神社 見どころ

正面の石段を上がり門をくぐると境内です。本殿の背後には松尾山の深い森が広がり、霊験あらたかな雰囲気に包まれています。

・本殿と祈祷殿

本殿は江戸時代の建立。檜皮葺。

月読神社 境内
▲祈祷殿と本殿
月読神社 本殿
▲祈祷殿から本殿を望む
月読神社 本殿
▲本殿

・摂社、その他

本殿の左右に摂社などが並びます。

  • 本殿の右
    ・聖徳太子社:月読命を崇敬した聖徳太子の徳を称え祀ったと言われます。
    ・むすびの木:縁結び、恋愛成就の御利益があるとされます。
    ・月延石:安産の御利益で有名です。
月読神社 聖徳太子社
▲本殿の右に聖徳太子社、むすびの木、月延石
  • 本殿の左
    ・願掛け陰陽石(陰陽石):左右の石を撫でて祈願します。
    ・御船社:海上交通安全、水難除。御祭神は天鳥舟命(アメノトリフネノミコト)。
     昭和期建立。松尾大社の神幸祭では、社前で神輿渡御の安全祈願が行われます。
  • 解穢(かいわい)の水:山中より流れる水。自己の罪、穢れを除くといわれます。
月読神社 御船社
▲本殿の左から、陰陽石、御船社
月読神社 解穢の水
▲解穢水
月読神社 社務所
▲社務所
ミィコ

キラキラ華やかな神社ではありませんが、霊験あらたかなパワースポットという感じがしました。

【4】安産祈願

戌の日は神職が常駐されるので予約不要です。
直接参拝できない方は「郵送お申込」での「ご祈祷」も可能です。

■ 受付時間 10:00~15:00
■ 安産祈願・祈祷 初穂料 8,000円、10,000円、20,000円
■ 駐車場あり 普通車数台(無料)

※戌の日以外のご祈祷、ご予約・お問い合わせ
月読神社社務所 TEL.075-394-6263
松尾大社社務所 TEL.075-871-5016

一般的に、妊娠5ヶ月目を迎えた最初の「戌の日」に行くのが正式とされています。「戌の日」は、犬が一度に赤ちゃんをたくさん産むことから、安産に結び付けられた行事です。かと言って戌の日にこだわる必要はありません。安定期に入って体調の良い日に出かける事が一番大切。月読神社は石段があるので、足元に気を付けて参拝しましょう。

【5】月読神社アクセス

最寄り駅から徒歩約7分です。

最寄り駅、バス停留所

  • 阪急電車 嵐山線「松尾大社駅」
  • 市バス「松尾大社前」

[地図]
B地点:月読神社

A地点:阪急電車 嵐山線「松尾大社駅」、市バス「松尾大社前」

・京都駅から

  • 地下鉄→ 阪急京都線→ 阪急嵐山線
    (1) 地下鉄 国際会館行「四条烏丸駅」まで約3分。
    → [四条駅で阪急京都線に乗り換え]→
    (2) 阪急京都線 大阪梅田行「桂駅」まで約5分~8分。
    → [桂駅で阪急嵐山線に乗り換え]→
    (3) 阪急嵐山線 嵐山行「松尾大社駅」まで約4分。
    ※合計所要時間約30分~40分
  • 京都駅前バスターミナル
    ・[C6のりば] 市バス28 嵐山大覚寺行「松尾大社前」まで約37分。
    ・[C6のりば] 京都バス73 苔寺・鈴虫寺行「松尾大社前」まで約53分。

・四条河原町から

  • 阪急京都線→ 阪急嵐山線
    (1) 阪急京都線 大阪梅田行「桂駅」まで約5分~8分。
    → [桂駅で阪急嵐山線に乗り換え]→
    (2) 阪急嵐山線 嵐山行「松尾大社駅」まで約4分。
    ※合計所要時間約15分~30分
ミィコ

松尾大社からは徒歩約5分くらいです。

関連記事です!

松尾大社 | お酒の神様、白虎に護られた洛西の氏神。見どころ紹介
「安産祈願」京都の神社6選。神様の縁起を知って参拝

※この記事の史実に関する記載は、月読神社公式サイト、駒札、Wikipedia、コトバンク、京都風光 等を参考に作成しました。