宇治上神社(うじがみじんじゃ/うじかみじんじゃ)は、平安時代の優美な雰囲気を醸し出す建築物が魅力な神社で、宇治川を隔てて鎮座する平等院の鎮守社でもあります。
「宇治」という地名は、かつては“うさぎのみち”「菟道」と書いて「うじ」と読みました。そのご縁で、宇治上神社のお守り・おみくじには「うさぎ」が描かれています。
宇治上神社の由来や見どころ、アクセス方法をご紹介します。
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【1】宇治上神社とは
世界文化遺産・宇治上神社は、平安時代に建立された日本最古の神社建築が残る神社です。
・宇治神社との関係
宇治上神社は、明治時代まで隣接する宇治神社と二社一体で「宇治離宮明神(八幡宮)」と総称され、それぞれ、離宮上社、離宮下社と呼ばれていました。
そして明治19年、宇治上神社は宇治神社から分離独立。名称と社格をいただいて現在に至っているという経緯から、宇治神社の摂社であったと考えられるそうです。
・平等院との関係
宇治上神社の創建は古くにさかのぼりますが、文献上に離宮明神(現・宇治上神社)が登場する時は、いつも平等院とセットであることから、現存する社殿は平等院と対をなす守り神「鎮守社」として、平等院と同時期に建造されたと考えられるそうです。
平等院と宇治上神社。宇治川を挟んで山と重なった悠久の祈りの景観は、現在もその姿をとどめています。
平等院
永承7年(1052年)藤原頼通によって建立された、現世の極楽浄土をイメージした寺院。平安時代の宇治は、宇治川を中心とする風光明媚な景観と都の郊外という条件から、平安貴族の別業都市(別荘)となっていました。平等院も、頼通の父、摂政・藤原道長の別荘「宇治殿」を改修したものです。
・御祭神と御利益
国宝の本殿にお祀りされています。
- 向かって右側の左殿:
菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)/学業成就 - 中央の中殿:
応神天皇(第15代天皇、菟道稚郎子の父)/勝負運 - 向かって左側の右殿:
仁徳天皇(第16代天皇、菟道稚郎子の異母兄)/病気平癒、悪運を切り良縁を結ぶ
※ご祭神、菟道稚郎子・応神天皇・仁徳天皇の関係は、宇治神社のページをご覧ください。
宇治上神社は、宇治川を隔てて平等院を守護していたんですね。遠くから見守っている感じが素敵。
【2】宇治上神社の見どころ
見どころは、平安時代に建立された国宝の本殿と拝殿です。それぞれ1060 年(康平3年)1215 年(建保3年)頃に建立されたと考えられています。
歴史資料等は無く、先の年代は「年輪年代測定法」により算出されたものです。
年輪年代測定法
気象の変化に伴う樹木の年輪成長の変化の変遷を利用した測定法。樹種による変化パターンは地域差が少なく、伐採年が明確なものを基準に、その「物差し」をつくり上げることができる。20世紀初めに米国で開発され、日本では1979年から奈良文化財研究所が取り組み、杉の場合では紀元前1313年までの「物差し」ができている。
・本殿(国宝)
本殿は神社建築としては最古のものに属する建造物で、一間社流造の内殿三棟を左右一列に並べ、後世これらに共通の覆屋をかけた特殊な形式となっています。
その身舎の扉には、建立当時の絵画が遺されているそうです。また、蟇股の意匠及び組物などの細部の特徴からも平安時代の後期に造営されたものと推測されます。
・内殿三社(一間社流造、檜皮葺)
・覆屋(桁行五間、梁行三間流造、檜皮葺)
・拝殿(国宝)
現存する最古の拝殿。鎌倉時代 初期の再建(神殿造様式)。
神様のための本殿に対し、拝殿は人が使用する場所なので、住宅様式である寝殿造で造られることが多いそうです。再建する際にも、拝殿が初めて建てられた頃の寝殿造の手法が受け継がれたと考えられます。
・桁行六間、梁行三間、一重切妻造、両妻一間、庇付、檜皮葺
内部は板床と天井を張り、蔀戸(しとみど/格子を組んだ戸)を多用した住宅風で、十二単の女性が現れてもおかしくない優美なしつらえです。
拝殿前の砂で盛られた円錐形の小さな二つの山は「清め砂」です。境内地の「お清め」の為のお砂であり、他の社で見られる、神が降りられる依代(よりしろ)を表しているものではありません。
宇治上神社では、八朔祭( 9 月1 日)に氏子さんたちによって奉納され、境内のお清め用の砂として1 年間盛られ続けます。お正月、お祭等の大切な日に境内にまき散らし、境内地を「お清め」します。
・摂社 春日神社(重要文化財)
鎌倉時代の建立
一間社流造 檜皮葺
ご祭神
武甕槌命(たけみかつちのみこと)
天児屋根命(あめのこやねのみこと)
・社跡
昔、お社があった「社跡」の標です。昔からの日本の習わしで、お社があった神聖な場所なので、人が踏み込んだりしないように、大きな石などを置いて敬っているそうです。
・桐原水
かつて、お茶の町宇治には、いたる所に名水が湧き出していました。その中でも特に有名で「宇治七名水」とよばれた水の一つ「桐原水」は、宇治上神社の境内で現在も清水が湧き出し往時をうかがわせています。
境内の桐原水は、お参りする為に手を清める為の「手水」として使われています。飲む場合は、一度沸かしてからお飲みくださいとのことです。
・ご神木「けやき」
本殿は、他の神社では見かけたことがない意匠です。平等院とともに、平安時代から残っているのが奇跡のような木造建築ですね。
【3】可愛い置物おみくじ
「宇治」という地名は、かつては “うさぎのみち”「菟道」と書いて「うじ」と読みました。そのご縁で、お守り・おみくじには「うさぎ」が描かれています。
御祭神の一柱であられる「菟道稚郎子」のお名前も、地名の「菟道」にちなんだものと考えられています。
御朱印やお守りなど、さまざまな授与品が用意されています。
マシュマロみたいなパステルカラーの兎のおみくじが最高に可愛いです^^
【4】宇治上神社 アクセス
京阪宇治線「宇治駅」からが近いです。宇治神社を参拝して、社務所の北側を通る「さわらびの道」を右に行くと宇治上神社の鳥居があります。
JR「宇治駅」からの場合は、平等院の後で訪ねるのが効率的です。
・祇園四条から
京阪本線 淀屋橋行 特急に乗車。中書島駅で宇治線に乗換
※宇治駅まで約32分 下車 徒歩約10分
・京都駅から
JR奈良線 みやこ路快速、城陽行、奈良行
※宇治駅まで約18~29分 下車 徒歩約15分
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宇治上神社と平等院鳳凰堂は宇治川を挟んで向かい合って鎮座されています。是非、両方訪ねてみてください。
※この記事の史実に関する記載は、宇治上神社のチラシ、駒札、宇治市観光パンフレット、梅原猛「京都発見1」を参考に作成しました。
宇治上神社
所在地 京都府宇治市宇治山田59
TEL.0774-21-4634
宇治上神社 紹介サイト